連休あたりから、懐かしいお客様や友人が訪ねてくれる。
こんなところにも、春を感じる。庭に出て、セリをつむ。
さっと茹でて食卓に。そうこうしているうちに、
土鍋でごはんが炊き上がる。いいにおい、
ほんのりおこげに、さっとしょうゆ味。
あともう一品、何か…、冷蔵庫に豚肉少々、しらたき一袋、葱数本。
すき焼き風のさっと煮が出来上がる。
一汁一菜、簡単なお昼ごはん。
何に盛ろうか、これもいいね、こっちも素敵!
季節の恵みをいただきながら、気の合う人と、おしゃべりが弾む。
なんと贅沢なひととき。器を選ぶ愉しみ…
またある日の夕食。ひさしぶりに集まった仲間と囲む食卓。
大皿や大鉢に豪快に盛り付けた海の幸、山の幸。大勢だからたのしめる贅沢。
同じ食材も、載せる皿で存在感を変えて見せる。
軽やかにも、重厚にも、演出は自由自在。
それは、もてなし方の愉しみであり、
招かれる側の喜びでもある。
普段は仕舞い込んでいる大きな器やとっておきの一枚、
思い切って使いましょう!
新しい発見がきっとあります!
「お庭の草とってるの、お手伝いしてくれる?」
「うん、いいよ!」大きな一輪車をもってきて、引き抜いた草を次々片付けてくれる。
やる気にあふれたちびっこは、意外にたのもしい。そして、声を掛け合い励まし合っていると、
一人のときより疲れないから不思議だ!
2日目、庭に出る。てんとう虫がいる。今日もいい天気。
アプローチのどくだみを抜いたり、少しずつすこしづつ。よくばらない。
そのうちに、お隣のご夫婦が、お茶を運んで来てくれる。『一服しましょう!』
駐車場に車が止まる。だれか降りて来る。麦わら帽子をかぶっている。
「去年植えたバラの様子をみにきたよ。」そういって庭の草を取っていってくれた。
芽を出したばかりの小さな花を、日当たりのいい場所に移し、蔓がからみやすくなるように支柱を立てる。
あたりまえのように、花のお世話ができる。とてもそれが、かっこよく見える。
物言わぬ生きものの声が聴こえる、それはまるで魔法つかいのようだ。
一通りの手入れを終えると、二人の魔法使いは、「また来るよ」と帰っていった。
おみやげには焼きたての『あまなっとのパウンドケーキ』と、
茹でて下拵え済のたけのこ。晩御飯は、今年初めての筍ごはんをいただいた。
この魔法使い、山ひとつ向こうの閑馬に住む、押し花キャンドルの逸久真先生と大山さんだ。
お二人も今週末、自宅を開放して『暮らしまるごと』というイベントに参加する。
準備で大忙し、てんてこ舞いのはずなのに、こうして様子を見に来てくれる。
その志が、何より有りがたい。